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砂 上 の 楼 閣 BLOG

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【夏コミ案内2】 合同誌 Fantasma Catalan

2017.08.07 (Mon)
ロイヤルマイルのyamadaさんと合同誌を発行いたします!
テーマはスペインはバルセロナです。

Fantasma Catalan
新書サイズ 154ページ 1000円

Fantasma Catalan

yamada:「消えた、声」 57ページ
天華:「Bienvenido a casa」 85ページ

サンプルは天華部分になります。
話が短いので文頭のほんのさわりだけとなります(><
 
 序章



 ――立ってこっちを見て。

 電話越しに聞こえた言葉に男は眉を顰める。
「ああ? んでそんなことしなきゃなんねーだよ」
 乱雑な言葉に女は「お願い・・・」と頼み込む。
「お願い、立ってくれたらあなたの言うとおりにするから――」
 だから、最後だけ私の頼みを聞いて。
 続いた言葉に男はため息を零す。
 なんで女の言う事を聞かなければならないのか。
 だが、女の言う事を聞けば別れられるというのならば、男は立つぐらいいいかと思い直し言うとおりに立ち上がる。
 天井のない二階席。立ち上がると風のあおりを受けて少しよろめくが、座席の背もたれに捕まって踏ん張ると、後ろを振り返る。
 進行方向に背を向けて立っているため、風に煽られた髪が視界を覆う。
 鬱陶しさに片手で前髪を書き上げると、ちらりと手を振る女の姿が視界に入った。
 女はまるで「ばいばい」と言わんばかりに手を振っている。
 バカバカしい事に付き合わされたが、これでようやく離れられる――安堵のため息を漏らした瞬間、ガッと首に強い衝撃が走った。
「――あ?」
 何が起きたのか分からない。
 その衝撃は首の後ろから前に通り抜け、不思議な光景が眼前に広がっていた。 

 くるくるくるくる
 世界が回る。
 空が地になり、地が空になる。
 海は逆さまになり、雲が波打つ。

 くるくるくるくる。

 上下逆さまになり、逆さまになった空が元に戻る。

 観光客も。
 警察官も。
 住人達も。

 くるくる回る。
 全てが赤くぬりたくられるまで、回る回る。
 全てが回る。

 最期にみたのは、両腕を広げた女。
 べったりと赤い口紅が塗りたくられた唇が動く。




「bienvenido a casa」
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